Fiction Holic

ゲーム、アニメ、漫画、小説、映画などなどのフィクションについて語ります。

アルテリオス計算式について考えてみようの会

みなさんごきげんよう。

今回はある計算式について自分なりに考えてみたいと思います。

 

0.序論

ゲームと数学というのは切っても切れない関係にあります。2Dシューティングでボスが弾幕を張れるのもアクションゲームでジャンプしたら落ちるのもだいたい数学のおかげです。元々ゲームが動いているゲームハードの先祖を遡れば、行き着く先はコンピュータの先祖、計算機というものです。計算するためのもので動いてるんだから数学関係ないわけないじゃろ!っていう話ね。まぁぶっちゃけこの辺りは今回の話にそんなに関係ないんですけど。

それでアルテリオス計算式というのはそんなゲームの中身で働いてくれている計算式の1つです。この計算式はとあるゲームの動画でその悪行が広く知らしめられた悪名高い計算式でもあります。が、僕は使い所を間違えなければこの計算式はゲームを簡単に、また楽しみやすくするものだと考え、この計算式の用法用量というものを僕なりに示せたらいいなぁと思いました。

 

1.アルテリオス計算式の正体とその弊害

アルテリオス計算式アルテリオスというRPGで用いられている、戦闘時のダメージ算出を行う計算式です。その内容はとてもシンプルで「攻撃力-防御力=ダメージ」というもの。小学生でもできるレベルの計算ですね。数学どころか算数レベル。

こんな簡単な計算式の何が悪いのか。それはずばりステータスの強さがダイレクトに結果に出過ぎてしまうことです。例えば攻撃力30のキャラが防御力10の敵、20の敵と戦った時に与えるダメージはそれぞれ20、10となり、そのダメージ差は倍になります。これで何が起こるかというと、格下の敵には楽に勝てるけど格上の敵には全く歯がたたないという苦痛のゲームバランスがもたらされるのです。

2.弊害の要因とアルテリオス計算式の適所

苦痛のゲームバランス製造マシーンと化したアルテリオス計算式。しかしそのゲームバランスをもたらしている真の黒幕はアルテリオス計算式ではなく、ステータスの方にあるのです。そして黒幕の正体をつかむことがアルテリオス計算式の本当の居場所を見つけることにつながります。

ステータスが黒幕と言われてピンとこない方もいると思うので、また例を出して考えてみたいと思います。まず以下のステータスでの戦闘を考えてみましょう。また以下でアルテリオス計算式を使う時、計算結果が0以下になる場合は全て結果が1になる、とします。

パターンA:

  • 勇者 HP:120 攻撃力:30 防御力:25
  • スライム HP:40 攻撃力:20 防御力:10
  • ゴブリン HP:60 攻撃力:40 防御力:20
  • ホブゴブリン HP:200 攻撃力:55 防御力:40 

まず勇者VSスライム。勇者が与えるダメージは30-10=20。勇者が食らうダメージは20-25=-5→1。2回殴ればスライムは倒せる。

では勇者VSゴブリン。与えるダメージが30-20=10。食らうダメージは40-25=15。6回殴れば倒せるけど6回殴られると合計90ダメージも食らう。連戦や2体以上は厳しい。

最後に勇者VSホブゴブリン。与えるダメージは30-40=-10→1。食らうダメージは55-25=30倒すためには200回殴らないといけないのに4回パンチされたら死んでしまう。勝てるわけ無いだろ!

じゃあ次のパターンBで考えてみましょう。

  • 勇者 HP:10 攻撃力:3 防御力:0
  • スライム HP:5 攻撃力:1 防御力:0
  • ゴブリン HP:7 攻撃力:2 防御力:0
  • ホブゴブリン HP:15 攻撃力:3 防御力:1

勇者VSスライム。与ダメージが3-0=3ダメージ。被ダメージが1-0=1ダメージ。2回殴れば勝てる。10回殴られないと死なない。余裕ですね。

勇者VSゴブリン。与ダメージは3-0=3ダメージ。被ダメージは2-0=2ダメージ。3回殴ったら勝てる。5回殴られないと死なない。そこそこ辛いバランス。

勇者VSホブゴブリン。与ダメージは3-1=2ダメージ。被ダメージは3-0=3ダメージ。8回殴ったら勝てるけど4回殴られたら死ぬ。回復アイテムとか回復魔法があれば勝てそう。攻撃順のシステムがどうなってるかにもよるけど。

 

以上パターンAとBのステータス、どちらがアルテリオス計算式に適しているかといえばもちろんBですね。このようにステータスの桁が小さい計算を行うようなゲームこそがアルテリオス計算式の本来使われるべきゲームだったのです。

3.結論

つまりアルテリオス計算式はシンプルにまとまったゲームに使うべきだったんだよ!(2回目)ステータスが2桁3桁あるようなゲームではなく、1桁、せいぜい2桁程度で情報量も少ないゲームで使われるべきなんだよ!

アナログなゲームでいうと、TRPGでも攻撃力(ダイス依存、固定値など)-防護点(せいぜい一桁)のような計算が一般にされてたりするので、使い所が大事。

 

 

アルテリオスが出た当時は(おそらく)数多のクソゲーと呼ばれるゲームが生まれては死んでいく時代であり、その屍が積み重なった上で今の楽しく遊べるゲーム達がある…と思っています。だからアルテリオス計算式だからってすぐにクソゲー認定しないようにしたいですね。

 

4.余談

まぁせっかくの計算する機械でゲームやってるんだからもうちょっと複雑な計算式でダメージ計算してもいいんじゃない?ということで試しにパターンAをポケモンのダメージ算出式に適応してみよう。

計算式(参考:ポケモン対戦考察まとめWiki - データ集/ダメージ計算式

((攻撃側のレベル × 2 ÷ 5 + 2)× 技の威力 × 攻撃側の能力値 ÷ 防御側の能力値 ÷ 50 + 2)×(85~100)÷ 100

 

パターンA2:

  • 勇者 Lv10 HP:120 攻撃力:30 防御力:25
  • スライム Lv5 HP:40 攻撃力:20 防御力:10
  • ゴブリン Lv15 HP:60 攻撃力:40 防御力:20
  • ホブゴブリン Lv20 HP:200 攻撃力:55 防御力:40 
  • 両方の技威力を50とする。

勇者VSスライム。与ダメージは19~20。被ダメージは4~5。

勇者VSゴブリン。与ダメージは10~11。被ダメージは14。

勇者VSホブゴブリン。与ダメージは6。被ダメージは23~24。

…どうせアルテリオス計算式に使うんだから適当なステータスでもばれないだろ、と思ってたけどわりとひどいバランスであった。みなさんもゲーム創る時は既存ゲームのステータスを参考にしてみよう。